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文章を描き出すことにより,何かこの苦痛を拭い去ることができるのだろうか。
そして自分自身の中にあるはずの何か答えを見出すことができるのだろうか。
何かの処方箋へとなりえるのか。
10代において,社会への恐れを感じることもなく,ただ怒りを形成して吐き出すだけでやり過ごすことができた。そしてそれにより自分自身への畏怖を忘れさることができ,何かを振り払うようにして生きてきた。
☆
生ぬるい風が吹きぬける。一年の四季の中で梅雨のじめっとした空気が一番嫌いだ。今日も相も変わらず,仕事終わりに近くの高瀬川に行き,蛍を見ながら,缶ビール片手に,煙草を吸う。そんな自分に酔ってみる。
蛍が死ぬところ・・・。
蛍が好きだ。蛍は素敵だ。ゴキブリを小さくしたような風貌なのに,暗闇の中で光を燈している。そして,短命。少しずつほんの少しずつ光が弱っていき川に流されていく。それでも少しの間川の中で光っていて,やがて暗闇に呑みこまれて逝く。そんな死にかたが好きだ。
「ややこしいな。」
一人呟いてみる。
せんちめんたるろんりーろんりー。
☆
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