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男が虎鉄の方へ歩を進める
それに続いて女性ものそりと起き上がった
二人とも焦点の合わない瞳でしかし確実に虎鉄の近くへ近づいてくる
「くそ！ ！」
掴みかかる二人をすり抜け
虎鉄は来た道を引き返す
「はぁ…はぁ…あの様子じゃあ映画の…はぁ…そのままじゃねぇか…」
走るスピードが自然と早まっていく
「映画じゃ……はぁ……前半で……街がゾンビだらけに……はぁ……なりやがった！」
虎鉄の脳裏には最近みた有名なゲームの実写映画と
「美鈴達が……はぁ……アブねぇ！！」
幼い頃に近所の子供達で遊んだ逃げる側がいなくなるまで続くサバイバル形式の鬼ごっこがぐるぐると交互に巡っていた
捕まったヤツも鬼になる―――
まさにあのままだった
最後まで逃げると
多人数の鬼が逃げる側を取り囲む
逃 げ ら れ な い
(畜生畜生畜生畜生！！…美鈴達はやらせねぇ！エサになってたまるかよ！)
虎鉄はまるで引き絞られた弓から放たれた矢のように
ただただ走った
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