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「彼女、おかしいヨ」
「おかしいって、どこが」
「俺はこんな目だからカ分からないけド、よく、妙なものが見えるんダ。霊魂や妖精の類のものだ」
ディーンは興味深げに眉を上げた。「へえ、そうなんだ」
「フィルは妙だ。人間なのに、人間じゃない。人より薄いんだ、魂が」
そう言うシンの顔は真剣で、冗談を言っているようには思えない。
ディーンは思う。
まいったなぁ、と。
「それを知って、俺にどうしろって?」
言いながら、自嘲的な笑みが浮かんだ。
シンは痛々しい目でディーンを見る。
青と金が、憐れみの光を反射した。
ディーンは、ぽつりと呟く。
「フィルが人間じゃないってんなら、俺だって変わんねェようなもんだ」
「お前、気付いて――?」
ディーンはシンの驚愕の声を聞かぬ素振りで無視し、部屋へと戻って行った。
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