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「財務大臣は私なんだから、好きにさせろっつーの」
ぶつぶつと文句を言っていると、隣から声がかかった。
「その金も永遠にあるわけじゃねェだろ。節約しといて損する事なんてねェんだからな」
どうやらディーンの買い物が済んだらしい。
「で、次はどうすんの? 私そろそろ探したいんだけど」
ここの前に寄った町で、『黒髪隻眼の男』に関する有力情報を得たのだ。
なんでも、ヒレアス国のとある伯爵邸に、それらしい男が居るとの噂だった。
「そうだなぁ、探せば良いんじゃね? どうせ人違いだろうけどさ」
ディーンはフィルの探し人に対し、しばしば否定的なことを言う。
見つける気が無いのか見つけたくないのかは分からないが、非協力的極まりない。
「別に良いけどさ、荷物だけ宿屋に置かせて」
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