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二階にある宿部屋へ入ろうと、フィルがドアノブに手を掛けた時の事だった。
「いたか!?」
「上だっ、急げ!」
何やら騒騒しい声が下から聞こえてくる。
と思うと、階段から真黒な塊が飛び出して来た。
一瞬、何かの獣かとも思ったが、違った。
「すまン、匿ってくレ!」
深夜を纏ったような、人間。
どうやら追われているらしい。
「はぁ!? 何を偉そうに!」
夜色の肌を持つ男はフィルの傍をするりと抜けて、ドアを開き宿部屋へと転がり込んだ。
開け放たれたドアをそっと閉めたのはディーンだ。
そのまますばやく、廊下の突き当たりにある窓を開けた。
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