*第二章*

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 二階にある宿部屋へ入ろうと、フィルがドアノブに手を掛けた時の事だった。 「いたか!?」 「上だっ、急げ!」  何やら騒騒しい声が下から聞こえてくる。 と思うと、階段から真黒な塊が飛び出して来た。 一瞬、何かの獣かとも思ったが、違った。 「すまン、匿ってくレ!」  深夜を纏ったような、人間。 どうやら追われているらしい。 「はぁ!? 何を偉そうに!」  夜色の肌を持つ男はフィルの傍をするりと抜けて、ドアを開き宿部屋へと転がり込んだ。 開け放たれたドアをそっと閉めたのはディーンだ。 そのまますばやく、廊下の突き当たりにある窓を開けた。
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