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階段から、三人の兵士が鎧をガッチャガッチャと鳴らせて駆け上がって来る。
なるほど、それだけ重苦しい格好ではあの男に追いつけないわけだ。
フィルを見つけた一番手前の兵士が問うた。
「女、この辺りに珍しい肌の男が上がって来なかったか!?」
応えたのは、ディーンだ。
「俺らを見て、ここから飛び降りてっちまったぜ」
開け放たれた窓から、熱を持つ風が吹いた。
兵士達は舌打ちし、忙しく階段を下っていく。
「それにしても暑そうな格好ね……。こんな土地なんだから、鎧は止めようとか思わないのかしら。ここのトップは馬鹿なわけ?」
今度こそ部屋へと入りながら、二人はベッドに寄りかかる男へと視線を向けた。
どうやらひどく疲れていて、咳き込むように呼吸をしている。
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