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俯いているので顔は見えないが、目を惹かせるにはそれでも十分だった。
深く被ってはいるが茶色のフードから覗く髪は、窓から射す光を反射してもなお、その黒さを失わない。
手や、靴を履いていない足の色は、まるで常闇を吸って生まれたかのような。
ふと、男が顔を上げる。なんて魅力的な男だろう、とフィルは息を止めた。
少し痩けてはいるが、するりと顎まで伸びる輪郭に、高く通る鼻筋。
何よりも、左右で色の違うその瞳。
青の左眼と金の右眼。
それがまるで、二つの月のようにぽっくりと浮かんでいた。
「まさか本当に匿っテくれるとハ……有難ウ」
その声に、硬直していた二人がハッと息を吐く。
「いや、まぁ別に匿うぐらい良いんだけどさ」
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