*第二章*

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・ ・ ・ 「ティカがね、看病しながら言うんだヨ。『私(わたくし)を外の世界へと連れていって』と。『こんな牢獄で生を終えるのは、あまりにも酷だわ』と。ある程度回復したかラ、俺だけは抜け出せて来れたけド……ティカを連れて来れなかったんだヨ」  ティカというのは、ティクラーナの愛称だろう。 ふと、シンの目に力が宿る、ディーンは嫌な予感に眉を寄せた。 「お前らの腕を見込んで頼みがあル! ティカを連れ出すのに、力を貸してくレ!!」  予想通りの懇願に、ディーンの答えは早かった。 「断る。あいにく、一国に目を付けられるような馬鹿はやりたくねェんだ。こっちにも、この国でやんなきゃなんねェ事があってね」
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