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正直、同情はする。
貸せる手はあるのだから貸してやりたいのが本音だが、国に追われるなど、そんな面倒事はごめんだった。
「やらなきゃならないこト……? それが終えたら、手を貸してくれるのカ」
「だぁから」とディーンが口を開いた瞬間だった。
「いいわよ」
シンの顔が希望に輝く。
ディーンが「え」と振り向けば、それはフィルの言葉だった。
「いいわよ。その代わり、一つ教えなさい。その、あんたが居た伯爵家には、黒髪で隻眼の男は居た?」
その質問に、シンはきょとんと首を傾げた。
「噂が回ってたなラ、多分、俺の事だと思うヨ。伯爵が、自分以外にその目を見せるなって言っテ、部屋から出る時は、薄い布を両目に巻かれてたかラ。それ以外には居なかったはずだヨー」
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