*第二章*

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 ずるぅ、とフィルがずっこける。 それを見て、ディーンは「ほら、人違いだって言ったろう」と言った。 「で、どうすんだよ。手ェかしてやんの?」  正直、ディーンは反対である。 だが、雇い主様がやると言うからには付き合わなければならないだろう。 フィルの声は、一途だった。 「一回やるっつったんだからやるわよ。用は済んだんだしね。私らってバレなきゃ追手も無いでしょう。それに」  じろり、とディーンを睨む。 「あんたがこいつを助けた時から、最後まで付き合わなきゃなんないのは決まってた事なのよ」 そこまで言われれば、黙るしかないだろう。 「どうやってバレずに“囚われのお姫様”を連れ出せるんだ? 何か手でもあんのか?」  答えたのはシンだ。「あるヨ」 「表門で騒ぎを起こして衛兵達の目を表に向けて欲しイ。あとは俺がなんとかするヨ」  決心に満ちた青と金。 ディーンはにやりと笑う。 「大丈夫か? お前、弱いみてェだけど」
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