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ずるぅ、とフィルがずっこける。
それを見て、ディーンは「ほら、人違いだって言ったろう」と言った。
「で、どうすんだよ。手ェかしてやんの?」
正直、ディーンは反対である。
だが、雇い主様がやると言うからには付き合わなければならないだろう。
フィルの声は、一途だった。
「一回やるっつったんだからやるわよ。用は済んだんだしね。私らってバレなきゃ追手も無いでしょう。それに」
じろり、とディーンを睨む。
「あんたがこいつを助けた時から、最後まで付き合わなきゃなんないのは決まってた事なのよ」
そこまで言われれば、黙るしかないだろう。
「どうやってバレずに“囚われのお姫様”を連れ出せるんだ? 何か手でもあんのか?」
答えたのはシンだ。「あるヨ」
「表門で騒ぎを起こして衛兵達の目を表に向けて欲しイ。あとは俺がなんとかするヨ」
決心に満ちた青と金。
ディーンはにやりと笑う。
「大丈夫か? お前、弱いみてェだけど」
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