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伯爵邸の周りは、森と言っても過言ではないほど木々に満ちていた。
梟の鳴き声がそこらから聞こえてくる。
こんなに暑くとも梟が居るものなのだろうか。
もしかすると、長年ヒレアスに居るうち、暑さに進化してしまったのかもしれない。
月は、真上にあった。
「どうすんだよ。そのまま乗り込む気か?」
返事は無い。
フィルは先ほどから、何を尋ねてもだんまりだ。
いい加減イラついてきたディーンは、その胸倉を掴む。
「言っとくが、このまま乗り込むなんて無謀な真似ごめんだからな。いくらなんでも、数十対一なんて無理だ。奇跡なんてねェぞ。魔法とか、夢みてェなもんはねェんだから」
フィルの肩がビクリと跳ねる。
ディーンはもう一度、詰め寄った。
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