*第二章*

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 伯爵邸の周りは、森と言っても過言ではないほど木々に満ちていた。 梟の鳴き声がそこらから聞こえてくる。 こんなに暑くとも梟が居るものなのだろうか。 もしかすると、長年ヒレアスに居るうち、暑さに進化してしまったのかもしれない。  月は、真上にあった。 「どうすんだよ。そのまま乗り込む気か?」  返事は無い。 フィルは先ほどから、何を尋ねてもだんまりだ。 いい加減イラついてきたディーンは、その胸倉を掴む。 「言っとくが、このまま乗り込むなんて無謀な真似ごめんだからな。いくらなんでも、数十対一なんて無理だ。奇跡なんてねェぞ。魔法とか、夢みてェなもんはねェんだから」  フィルの肩がビクリと跳ねる。 ディーンはもう一度、詰め寄った。
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