*第一章*

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ディーンの宿部屋へと落ち着き、二人は当面の予定について話し合う。 「それにしても、あんたも一応この町に居るからには何か目的があったんじゃないの? ま、依頼したのは私なんだけど」  この町、ベルドは、船旅を終えた旅人の集う港町だ。 なので、様々な情報を求めた旅人がベルドを訪れる、言わば情報の町なのだ。 主に賞金首などの人探し、財宝や秘宝などの情報を求める者達が主流である。 「人探しだよ。どうしても殺さなきゃなんねェ奴が居てさ」  そう言いながら紅茶を淹れる彼の目は穏やかで、物騒な台詞は全く似合わなかった。 「そんな事、会ったばっかの奴に言っても良いの? それに、『どうしても殺さなきゃなんない』のに私なんかに付き合ってても良いの」  白く柔らかい湯気をたたせたマグカップを二つ持ち、「良いんだ」とまた笑う。
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