*第一章*

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「もう、見つけたから。この町で」 「……殺したの」  困ったような笑顔は、彼の肯定を表しているのだろう。 フィルは「ふぅん」と気のない返事をして、少し黄ばんでいるマグカップを受け取る。 「私もね。人を探してるの。全く知らない人なんだけど、どうしても会わなきゃいけない人なの」 「――どんな?」 「あんた知ってる? 『隻眼(せきがん)黒髪の男』」  ふむと考え込んだディーンは、思いつかなかったのか、へらりと笑って答えた。 「黒髪なら、俺もそうなんだけどね」
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