ほんき

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ほんき

本気、と言われて、僕に思い当たることは一切、無いのだ。 いつも兄と比べられた  というのは関係あるのだろうか。 何はともあれ、何かを本当に極めようと思えたことがない。 極めようとしたこともない。 痛い、苦しい、辛い、そういったことから諦めて、逃げることばかりが上手くなった。 傷つくことから逃げるために。 それはダメなことだろうか。 小学校の頃から、「お前には無理」「諦めなさい」と繰り返し言われ、では最初から望まないことが一番正しいと思ってしまうことは、必然だったのではないか。 しかし、とも思う。 そうやって逃げるという選択肢をしたのは詰まるところ、僕なのだ。 そういう二律背反と、自己嫌悪で形成されてしまった僕は、何に本気になれるというのだろうか。 この世界に期待はない。他人に望むことは無い。 しかしなにより、自分とその未来に期待を抱けない。 そんな僕は、まだこれからも生きていかなくてはならないことが、ひどく苦痛である。
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