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全力で追いかけっこ。
でも、あっという間に縮んだ距離…
「はい、捕獲ぅ」
「ぅ…離してよ!」
「やっぱり足おせぇのな」
「うるさいっ」
バタバタもがくと、案外簡単に離れていった。その代わり、ぽんぽんっと頭を撫でられる。
「悪かったってー許せ許せ」
「あんた……っ!」
絶対!こいつ謝る気ないっ!
私を子供扱いして……!!
こうなったら最終手段ね…
「あ!あんな所に彩愛先生が!!」
「何っ!どこだ!?」
「引っ掛かったわね、変態!!」
「な……いだっ!!!」
後ろを向いた須本に最大出力の蹴りをお見舞いする。
ちなみに、彩愛先生は私の高校の保険医、もとい男子生徒たちの天使。彩愛先生を愛してやまない須本にはこれが一番効果的ね……
予想以上に攻撃が効いているのか、蹲る須本を置いて私は走り出した。
「ちょ、片桐!」
「須本なんて絶滅しちゃえー!!」
私は振り向きざまに捨て台詞を吐いて、後は後ろを向くことなくそのまま走り続けた…
「はぁ……須本のバカ…!」
せっかく…広瀬くんに会えたのに……
全部台無しだよ…。
ため息をひとつ吐いた、その時…
「あれ……広瀬、くん…?」
「……?あ、片桐さん…」
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