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時計
ある朝、目が覚めると枕元に置いてあった目覚まし時計が床に転げ落ちていた。
僕は体を起こし、時計を拾い上げた。
すると時計は7時きっかりで止まっていた。
僕は部屋を出て、階段を下りてキッチンに向かった。
キッチンではママが朝ごはんを作っている。
が、様子がおかしい。
僕の呼びかけに全く反応しない。
近付いてママを見るとまるでマネキンのように固まっていた。
テーブルに向かっているパパを見ると、新聞を片手にパンをかじっている状態で固まっている。
仕方ないから僕は朝ごはんを食べずに家を出た。
外に出ると車も通行人も木も何もかもが一時停止をしたかのように固まっていた。
僕はそのまま学校へ行ったが、教室には誰もいなかった。
職員室へ行ったが数人の先生がいるだけで、しかもその先生も他の人と同じように固まっていた。
仕方なく僕は家に帰った。
パパとママは家を出る前と同じ状態で全く動いていない。
僕は自分の部屋に行き、ベッドの上で泣いた。
そして泣き疲れてそのまま寝てしまった。
何時間寝ただろうか。未だに外は朝日が照っている。
ふと、床を見ると電池が転がっていた。
僕ははっとなった。
目覚まし時計が落ちた拍子で電池が抜けたに違いない。
僕は電池を拾い、目覚まし時計にはめた。
目覚まし時計は時を刻み始めた。
すると一階から僕を呼ぶママの声がした。
僕は嬉しくなって部屋を飛び出した。
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