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恵理『すみません…』
彼女は席を外す
キク『恵理ちゃんも大変だ…もう、何回目かね…電話、旦那が超ヤキモチ焼きみたいで、恵理ちゃん綺麗やし判るけど、異常!可哀想やで…』
彼女が結婚している事を知る
当たり前だ
当然だろう
綺麗だし…
恵理『すみませんでした…』
キク『大丈夫?』
恵理『はい、大丈夫です』
大地『よし!呑みましょう!…ビールで大丈夫ですか?』
彼女のグラスにビールを注ぐ
お返しに注がれる
大地『キクちゃんは?』
キク『あたしは酎ハイを頂いておます!』
三人で乾杯する…
大地『仕事慣れました?』
恵理『はい、お陰様で…大分慣れました』
大地『キクちゃんに虐められてない?』
恵理『まさか…そんな…オーナーには良くして頂いてますしスタッフの皆さんにも…』
キク『あたしは天使のオーナーやで虐めるかいな、恵理ちゃんは働き者で覚えも早いし、近々ホールのリーダーにするつもりや』
恵理『そんな…私なんかまだ…』
大地『そりゃあ凄いなぁ半年でリーダーとは』
また携帯の振動が響く…
出る気配はない
こっちが気になる
勿論、キクちゃんも…
マサ『ダイちゃん!花束おおきにやで…みんな凄い言うて、流石ダイちゃんや言うて誉めちぎってたで…若干…ジェラシー』
マサやんはもうベロベロだった
マサ『ダイちゃん俺…やるしな、この店に負けんええ店にしたるさかい、それが恩返しっちゅうワケや…あっ、そや!開店祝いのスタンド頼むし、派手なやつ頼むわな…ほんまありがとな、店にも顔だしてや…』
マサやんは泣いていた
喜びと不安…
感謝の気持ちが涙腺を緩めたのだろう
恵理『花束…凄いですね、ガーベラがあんなに上品に華やかだとは気付きませんでした』
大地『いや、それほど…仕事ですから…うん、俺の仕事…そんだけ、大した事はない』
恵理『徳永さんは大阪の人ですか?』
大地『いや、どうして?』
恵理『少し関西弁が柔らかいから…』
大地『あっバレた?…出身は屋久島で高校卒業して大阪に来た、大阪の方が永いんやけどなぁなかなか関西弁にならんのかな?』
何故か汗が出る
何故彼女を意識する
彼女はふと…遠くを見る
その寂しい表情が
『封印』を解き放とうと脳をつつく
ダメだ…
彼女は結婚してる…
解いてはダメだ
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