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バンは〈潮山海〉の近くの駐車場へ滑り込ませー
〈潮山海〉の暖簾を潜る…
大地『まいどぉ~』
大将『おおダイちゃん…1人?』
大地『もう直ぐボスが…』
大将『へぇ~珍しいね、呼ばれたんかい?』
大地『そんなとこです…』
カウンターに陣取り、瓶ビールを注文する
ボス『大将!まいどぉ~!元気!いやいや相変わらずぼったくってますなぁ~!あははは…商売繁盛!何よりですな』
大地『お疲れ様です…』
ボス『ご苦労さん、店の方大分順調やな!おおきにやで』
ボスのグラスにビールを注ぐ
お返しに注がれる
取りあえず乾杯…
大地『いやぁ~店は加代ちゃんのお陰ですわ、ほんま感謝してます』
ボス『そうか…加代ちゃんのお陰か…子供は元気なんかい?』
大地『ええ、元気みたいです、この前三人でここで飯喰いましたし』
ボス『さよか、ダイちゃんこれ…加代ちゃんに…』
おもむろに財布からピン札を10枚取り出す
ボス『ボーナスや、ご苦労さんゆうて渡しといて…』
大地『直接ボスが渡した方が加代ちゃん喜びますよ』
ボス『明日、朝から山形やし、会えんさかいにだ渡しといて…』
大地『…なら、預かっておきます…確かに…』
ボスは加代ちゃんの頑張りは勿論事情も察しててボーナスを出してくれたんだろう
クリスマスに大晦日
正月にお年玉
一瞬でよぎったに違いない
まだ、幼い香里ちゃんの事も…
見た目はジャイアンでも心優しい気遣いが出来る人でもある
そんな男気に…
ジンとくる
ボス『大将!熱燗おくれ!』
大地『なんか話しでも?』
ボス『うん、大した話しじゃないんよ…三秒で終わる…
ダイちゃんお見合いする?しない?』
大地『いや…すんません』
ボス『うん、わかった!話し終わり…』
拍子抜けした
もっと、深刻な話しなのだと思っていた
大地『ほんと、すんません』
ボス『答えはわかっていたんやけどな、あはは…呑む口実や先方には断っとく…気にしなや』
ボスは徳利を傾ける…
ボス『早紀ちゃんの事まだ引きずってんのかい?』
大地『まさか、消したいくらいです…』
ボス『うん、ならいい、安心した、いやなっ、キクちゃんが心配しとったさかいに…まぁ、ボチボチとな、うん、男は惚れたら負けやで、ワシが言うのもなんやけどな…惚れたら負けや』
徳利を傾ける…
過去に早紀の事もあったから心配してくれていた
多くは語らない…
それもボスの男気だった
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