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そんなことを思い出しながら少し焦げてしまったカレーを皿につぎわけた。
焦げ臭い香りとカレー独特な食欲をそそる香りにつられたのか、先ほどまで携帯を弄っていた銀八が手伝うよ。とスプーンを取り出した。
戸棚からスプーンとコップを取り出している姿を見て少し抜けた所はあるものの、やはりこの男は大人なんだなと実感した。
広い肩幅に、身体のあちこちにしっかりとついた筋肉。
その姿は恋人の背中というよりもむしろ、家族をしっかりと支える父親の姿のようだった。
まぁ、俺の父親は家族のことなんかほったらかしだったけど。
親に甘えたいという子供心からか、恋人に甘えたいという恋情からか、はたまたその両方の感情からか、俺はそのたくましい身体に抱きついた。
「おやおや晋ちゃあん、肌寒くなったのォ?」
「うっせ。」
憎まれ口を叩きながらも銀八は俺よりも大きな手で頭を撫でて、早く飯にしようぜと笑った。
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