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携帯電話というのは、しょせん通信器機だ。
相手と連絡を取る道具であり、愛情や友情を確認するものではない。
しかし、周りがやれメールだのブログだの騒いでいたら、嫌がおうにも気にならずにはいられない。
高校へ入学したばかりの頃、土方は親に「携帯電話が欲しい。」とねだった。
理由は単純明快。
周りが持っているから自分も少し興味がわいたからだ。
「携帯電話…ねぇ。どうしたの?物ねだりなんかしない貴方が珍しいじゃない。」
「持って不便なもんじゃねェだろ?それに俺は部活や塾でいつも夜遅ぇしよ。お袋に心配かけたくねぇから直ぐに連絡出来るようにしたいんだ。頼むよ。」
自分よりも背が低い母親と頭の位置が同じくらいになるまで頭を下げた。
そんな俺の様子に母親は「仕方ないわね。」と眉をハの字に下げて言った。
「その代わり、お母さんの料理にマヨネーズかけるの一週間禁止よ。」
「……………分ァったよ。」
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