たった３行の哀情

流行

嗜好品を一週間口にしなかったのは流石に辛かったが、何はともあれ欲しい物は手に入れた。

幼い頃におもちゃを買ってもらったような、ワクワクした心持ちで部屋で携帯電話を弄ってみた。

分厚い説明書は見なくとも、なんとかなるだろう。そう思いながら、ゆっくりと電源を入れた。

チャラチャラと幼稚な音楽が流れ、海の景色をした初期設定の待ち受け画面が表れた。

数秒間それを見詰め、何をしようかと考えた。
そしてクラスメイトの山崎から「携帯買うんだったらメールくださいね。」と言われて受け取ったメモ用紙を思い出した。

記憶の糸を辿るようにしてメモ用紙を鞄の底から引っ張り出して、ゆっくりとアドレスを入力した。