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野菜を調度いい大きさに切ったものを鍋にぶちこんで蓋をした。
そして自分の後ろで携帯電話を弄っている恋人をちらりと見た。
自分の視線に気づかずに一生懸命になって画面とにらめっこしているものだから、少しからかってやろうと
「何見てんだよ?エロサイトかぁ?」
と訊ねてみた。
「んー。今は違う。」
「なんだよ。今『は』って。少しは否定しろっての。」
聞くんじゃなかったと心の中で舌打ちをした。
そんな俺の様子をからかうようにニヤりと恋人は笑いかけてきた。
「悪ィな高杉。俺ってさぁ、ほら一応教師じゃん?生徒の前では嘘は吐かない主義だからさぁ。」
悪ィな。とか言いながらその姿からは反省の色が1ミリも感じられない。
もう付き合ってけっこう経つが、たまに思うのだ。
本当にコイツは教師なのか?と。
でもまぁ一回り下の、それも生徒に手を出すところでこの教師は十分にまともじゃないのだけど。
しかし本当にまともじゃないのは、そんな教師に惚れ込んでいる俺自身かと笑った。
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