コトノハジマリ

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チュンチュンッ―― 空は青く澄み渡っており、気持ちの良い朝だ。 そんな中、全力で走っている少年と少女がいる。 少し長めの肩より少し長い黒髪を項で小さく結い、漆黒の瞳の少年。 長い艶のある黒髪を腰の辺りまで伸ばし、黒に近い焦げ茶色の瞳の少女。 2人は大量の汗をかきながらも懸命に走っている。 只今の時刻、8時10分。 校門通過時刻は8時15分。 現在地からの距離、徒歩20分。 絶望的な状況だ。 ただ、2人は遅刻するわけにはいかなかった。 遅刻常習犯の2人は、生徒指導の体育教師に目をつけられており、次に遅刻すれば正座で2時間説教をすると言われていたのだ。 はっきり言って、2時間はウザイ。 2人はそれを回避すべく、目覚まし時計をセットしていつもより早く、余裕を持って起きたのだ。 だが、余裕は持つべきではなかった。 いつもは食べない朝食を凝って作ってみたり、寝癖を直すのに時間を掛けてみたりと、余計なことをしてしまった。 その結果、家を出たのはいつもより10分近く遅かった。 普段でも全力疾走してギリギリ間に合うか間に合わないかというぐらいなのに、10分は痛い。 少女「ちょっと魁兎(カイト)、どうすんの!?ゴリラの説教2時間も聞くなんて嫌だよ!?」 少女は大声で言った。 因みに、ゴリラとは体育教師のことだ。 魁兎「うっせぇ!!俺だってんなもん聞きたかねぇよ!!兎稀(トキ)、しょうがねぇから近道使うぞ!!」 少年、魁兎は少女、兎稀の手を掴んで右に曲がった。 そこは、他人の家。 学校までは、他人の家を横断すれば時間が半分ぐらい短縮される。 まぁ、不法侵入なのだが、今の2人にとってはそんなことより説教回避の方が重要なのだ。 塀を飛び越え、庭を走る。 少年「あっ!魁兎稀だ!また遅刻~?」 とある家の少年が2人に話し掛けた。 この反応からして、2人の不法侵入は日常茶飯事らしい。 魁兎、兎稀「「その呼び方は止めろ!!」」 2人は息ピッタリで怒鳴った。 少年は笑顔で手を振った。  
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