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暫くして、ある場所に出た。
門には門番がおり、物々しい雰囲気を醸し出している。
そして、新撰組屯所の文字が。
4人はそのまま中に入って行った。
暫く歩いて、2人が連れて行かれたのは少し広い綺麗な部屋だった。
当たり前だが、畳だ。
それに2人は少し感動していた。
土方「俺は近藤さんを呼んで来る。総司はこいつらを見張ってろ。」
土方はそう言って部屋を出て行った。
部屋を沈黙が包む。
兎稀はキョロキョロと部屋を見回しており、魁兎は荷物を漁っている。
総司と呼ばれた男はそんな2人をジッと見ている。
兎稀「ねぇねぇ、魁兎。ついて来ちゃったけどどうすんの?」
兎稀は魁兎の脇腹をちょんちょん、と突いた。
魁兎「ん~?」
魁兎は荷物を漁る手を止めない。
話も聞いていなかったようだ。
イラッ☆
兎稀の右頬がピクッとし、固い握り拳を作る。
満面の笑みを浮かべており、かえってそれが怖い。
ドスッ――
魁兎「ぐふぉ!!」
兎稀の拳が魁兎の脇腹に綺麗に入った。
兎稀「はい問題です。私はさっきなんて言ったでしょ~?」
兎稀は変わらず満面の笑み。
魁兎の顔が引き攣っている。
魁兎「え、えぇ~と……。」
魁兎は冷や汗をかきながら視線を宙にさ迷わせた。
その視線が総司に留まり、魁兎は必死に目で助けを求めた。
兎稀「ねぇ、私の話聞いてなかったよね?私が嫌いなこと何か知ってるよね?」
兎稀は目を細めて魁兎を見た。
魁兎「お、同じことを、言わされること……。」
兎稀に圧倒され、魁兎は少し後退りした。
兎稀「うんうん、そうだよ。私達のモットーは『人の話を聞かない奴は関わるな』だったよね?それなのに、何で魁兎が私の話を聞かないの?」
兎稀は魁兎に顔を近づけて言った。
魁兎「いや……、考えごとしてて……。頼む、もう1回言ってくれ!!」
魁兎は手を合わせて懇願した。
兎稀「い・や☆」
兎稀は笑顔で言った。
魁兎は呆れた顔をしている。
魁兎「いや、さぁ。そう言うだろうと思ったけどさぁ、そこまで笑顔だったら何かムカつくな。」
魁兎は頭を掻いた。
兎稀はニコニコしている。
兎稀「男なんだから女の私に手ぇあげないでよねぇ。もとはと言えば、魁兎が悪いんだから自業自得。」
兎稀はもう怒っていないらしい。
魁兎の頬をプニプニと突いている。
魁兎「プニプニすんなぁ!!」
魁兎は兎稀を睨んだ。
兎稀は楽しそうに笑っている。
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