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「何を言っている香弥。お前の目は節穴か?」
奏之介は香弥を一瞥すると、黒のローファーをツカツカと鳴らし、マコトの前まで来た。
「……だいぶ薄汚いが、よく見ると美人だぞ」
「!!」
可愛い顔が近づいてきたのと、美人と言われた事に、マコトは頬を赤らめた。
「奏之介様の方が美しいですよ」
「美しい言うな! ……んっ? この女、なんで俺の制服着ているんだ?」
奏之介はジャケットは脱いでいたが、確かに、マコトと同じ制服である。
「奏之介様こそ、学校はどうしたんですか?」
「抜けてきた。まぁ、服なんざどうでもいい……それより女、名前はなんだ?」
「抜けてきた!? あれほど、一人で出歩くのは危ないと!」
質問を返さずワタワタする香弥を無視して、奏之介はマコトを見つめたままでいる。
「……マコト」
マコトはそう呟き、顔を背けた。
そんな大きな目で見つめられたらかなわない。
顔に穴が空きそうだと戸惑う。
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