出会い

12/12
前へ
/270ページ
次へ
「マコトかぁ。いい名前だな! 俺は東城奏之介だ」 「……しょうのすけ?」 ちらりと、横目で奏之介を見る。 「奏之介だ!」 「……そうのしゅけ?」 「奏之介っっっ」 「そおぉのふけ」 なかなか言いにくい名前だ。 長谷川は良く噛まないなと、マコトは苦笑する。 「…………わざとだろ。奏様でいい」 「……じゃあ、奏ちゃん」 「ちゃん付けかよッ。まぁそれでいいやぁ。気に入ったぞッマコト。またなぁ!!」 奏之介はそう言うと、慌ただしく部屋から出て行った。 マコトは唖然と閉まったドアを見つめる。 「この家のご子息、奏之介様です。いつも学校をサボるんです」 香弥がため息をついて発した言葉に、マコトはハッと我に返って、向き直った。 「もぉ、なんか色々分からないんだけど。どういうこと!?」 マコトは香弥に詰め寄る。 もういい加減、説明して欲しい。 香弥はふっと息を吐いて微笑むと、噛みつきそうなマコトを手で制する。 「そうですね。説明しましょう。……その前にシャワー浴びますか。雨に濡れたままですから」 .
/270ページ

最初のコメントを投稿しよう!

381人が本棚に入れています
本棚に追加