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「マコトかぁ。いい名前だな! 俺は東城奏之介だ」
「……しょうのすけ?」
ちらりと、横目で奏之介を見る。
「奏之介だ!」
「……そうのしゅけ?」
「奏之介っっっ」
「そおぉのふけ」
なかなか言いにくい名前だ。
長谷川は良く噛まないなと、マコトは苦笑する。
「…………わざとだろ。奏様でいい」
「……じゃあ、奏ちゃん」
「ちゃん付けかよッ。まぁそれでいいやぁ。気に入ったぞッマコト。またなぁ!!」
奏之介はそう言うと、慌ただしく部屋から出て行った。
マコトは唖然と閉まったドアを見つめる。
「この家のご子息、奏之介様です。いつも学校をサボるんです」
香弥がため息をついて発した言葉に、マコトはハッと我に返って、向き直った。
「もぉ、なんか色々分からないんだけど。どういうこと!?」
マコトは香弥に詰め寄る。
もういい加減、説明して欲しい。
香弥はふっと息を吐いて微笑むと、噛みつきそうなマコトを手で制する。
「そうですね。説明しましょう。……その前にシャワー浴びますか。雨に濡れたままですから」
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