変身

2/11
前へ
/270ページ
次へ
「はぁ!? 影武者!?」 マコトはシャワーを浴びて、いつの間にか洗濯してあった自分の服に着替えた。 今は、香弥の部屋でお茶を飲んでいる。 「そうです。奏之介様を狙う輩がいるんです。それを突き止めようと思って」 香弥は、優雅にコーヒーを口に運んだ。 「かっ、影武者っていつの時代だよ。奏ちゃんを狙うってなんだよ」 「奏之介様が小さい時は、よくあったんです。可愛いから連れ去られそうになったり……身の代金目的だったり……最近は無かったんですが、この前、奏之介様が一人で帰宅してる時、何者かに襲われたんです。周りにいた人が気が付いて、逃げ切れましたが」 「……その、身代わりを私にやれと?」 なんて無理矢理な話だ。 「はい!! 背格好がぴったりな方を探していたんです。なかなか奏之介様のような華奢な男性はいらっしゃらなくて……。まさか女性だとは」 「女で悪かったな」 「それに、車にぶつかりそうになった時の身のこなし!! 頼もしいです!」 「男に生まれれば良かったかな」 香弥は嬉しそうに、爛々と話す。 マコトは冷ややかな目で見た。
/270ページ

最初のコメントを投稿しよう!

381人が本棚に入れています
本棚に追加