出会い

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車の前から呟く声がし、とりあえず生きていることが分かった運転手はホッと息をついた。 パシャリと水音を立てながら近づく。 倒れて尻餅をついたのか、座り込んでいるその声の主は、ジーパンにパーカー姿で、目深にフードを被っていた。 「せっかくタイミング見て飛び出したのに、受け身とっちまったぁッッ」 フードは立ち上がると、両手で頭を抱えて、そう叫ぶ。 運転手は驚いて、目を見開いた。 「なっ……何、アクロバティックな事してるんですか!? ケガはないですか?」 「ない! 残念ながら、かすり傷ひとつもなぁい!!」 なぜか、悔しそうに車のボンネットを叩いて顔を歪めるフードに、愕然とする。 「ちょっ……何のスタントですか!?…………それより、あなた──」 ボコンと凹みそうなボンネットを見て、運転手は慌てて手を押さえ込むと、ふとフードを見上げた。 「…………いろいろ訳ありみたいですね。ケガしてないなら家に来ますか? 服も泥だらけですし」 しばらくフードを見つめ、考え込んでいたが、そう言いニコリと微笑んだ。
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