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マコトは、何の飾りも付いていないシンプルな黒のブラジャーをしていた。
その中には、ちゃんと膨らみもある。
だが、余計な脂肪が付いていない体は、どこかしっかりとした印象を受ける。
フードで隠されていた髪も、肩ぐらいまであるが、ボサボサで艶のない黒髪は女の子には見えない。
長谷川同様、マコトも時が止まったように凍りつき、色の濃い黒目を見開いて立ち尽くしていた。
その沈黙を破ったのは、顔を赤くした長谷川だった。
「なっ、何、脱いでるんですかッ」
「何、脱いでるって……お前が……」
「はっ、破廉恥なっ」
「はれんち……って、おまえぇぇ……」
マコトは、今度こそ殴ろうと、体を隠す事もせず手をグーにする。
怒りで握った手がぷるぷると震える。
人を馬鹿にしやがって。
言いなりになって、服まで脱いでしまったことが情けなくなってくる。
「いいから、これに着替えて下さい!」
「私は良くない!!」
長谷川は投げ捨てるように、無理やり服をマコトに渡すと、慌てて部屋を出て行く。
マコトが受け取った服は、腹いせにドアに投げつけられ、ぱふんっと味気ない音を立てた。
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