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「マコトさん。先程は失礼しました」
数分後、着替え終わったマコトを見て、長谷川がニコニコと話し掛ける。
「服。ぴったりですね! なんの問題もない」
やけに上機嫌な様子に、マコトを冷たい目を向けた。
「……オイ……」
「はい?」
「なんで男もんの制服なんだぁぁ!?」
鏡に映る自分の姿を見て、叫び声を上げる。
マコトが着ているのは、上流家庭しか通えないと有名な中学校の制服だった。
白っぽいベージュのブレザーで、左胸の緑色と金糸のエンブレムが、これ見よがしに大きく付いている。
「大丈夫ですよ。似合ってます! 女の子って分かった時はダメかと思いましたが」
「いやいやいやいやいや……うれしくないし。意味分からないし」
『バンッッ』
勢いよく開かれた扉が、二人の噛み合わないを会話を遮った。
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