189人が本棚に入れています
本棚に追加
「伝えたとしても一生逢えない。だから・・・言わない。辛い過去として俺を忘れてくれればいい。これが俺の愛し方だから」
「花月・・・」
何か言いたそうなソウ。
花月は首を横に振る。
「俺のことより、ヴィアのところに行って。風邪引いて戦ってる最中に倒れたんだ」
「え!?」
「俺、水貰ってから行くから先に行ってて」
「わかった!」
ソウは驚きながら頷くと、城の方へ走って行く。
花月はソウが見えなくなってから、歩き出す。
自分の幸せより民の幸せを願ったリゼル。
だから、オルゴールをリゼルに渡したときに自分も決意した。
リゼルに想いを伝えることも引き止めることも出来なかった。
だから、リゼルがどこに行っても、誰と一緒になってもずっと見守り続けよう。
守り続けよう。
それしか、出来ないから。
臆病な自分にはピッタリだとそう思った。
最初のコメントを投稿しよう!