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その瞬間、手を捕まれた。
「ヴィア?」
驚いて振り返ると、ヴィアが手をギュッと掴んでいていた。
ヴィアは熱で潤んだ目で、リゼルを見ると口を開く。
「リゼル・・・行かないで、くれ」
「だが、薬を飲むために水を持って来ないと。薬を飲めば、少しは楽になるぞ?」
リゼルの言葉にヴィアは首を横に振る。
「頼む・・・から」
「・・・仕方ないな」
リゼルは椅子に座り直すと、ヴィアの手を握り返す。
「熱いな。熱があるなら、早く言えばよかったのに」
「花月にも同じ事、言われた」
ヴィアは苦笑した。
「当たり前だ。言ってくれなきゃわからないだろ?お前は少し頑張り過ぎだ。もう少し私たちに頼れ」
「リゼルに言われたくないな・・・。リゼルも・・・一人で頑張ってる」
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