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リゼルはヴィアの眠りを妨げないように、静かに椅子に座り窓の外を眺めた。
自分がカーダの元に行けば、誰も死なずに済む。
花月もヴィアもソウも死なずに済むのだ。
大切な人達の未来を繋げられるなら犠牲になっても構わない。
リゼルはそう思って笑う。
「いつか、花月に私以外に好きな人出来るのだろうな・・・」
そしたら、花月は自分の事など忘れてその人と子供も出来て幸せに暮らすのだろう。
すごく寂しい。
けど、幸せならそれでいい。
それで・・・。
リゼルは静かに涙を流した。
ヴィアは寝返りをしてリゼルから背を向けると、目を開く。
リゼルの涙なんか見たくない。
ずっとリゼルには笑っていてほしい。
だから、頑張らなきゃ。
後、二週間しかない。
どうにか、しないと・・・。
「俺・・・頑張るから・・・」
ヴィアは掠れた聞き取れないくらい小さな声で言うと、意識を深い闇の中へと沈めた。
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