想い

18/20
前へ
/568ページ
次へ
「すぐに帰らなきゃダメなの?だってまだ、会ってないだろ?少し話してからでも・・・」 ソウは首を横に振り、無理に笑う。 「いますぐに資料を、渡さなきゃいけないから」 もうダメ。これ以上は我慢できない ソウは俯き、足速に花月の横を通り過ぎる。 「・・・じゃあ、またね」 そう言い残して去るつもりだったのに、腕を花月に掴まれた。 「おい、ソウ」 「・・・」 ソウは俯いたまま何も言わない。 花月はため息をつき、ソウの顔を覗き込む。 「何、泣いてんのさ?」 「・・・泣いてない」 強がってみても、声が掠れてるし涙が止まらない。 「何かあった?」 「別に」 「ソウ」 「何でもないし、話してもどうにもならないことだから!」 ソウは花月の手を振り払った。
/568ページ

最初のコメントを投稿しよう!

189人が本棚に入れています
本棚に追加