最後のわがまま

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リゼルは頷く。 「そんな人に会えてよかったな」 「はい。素敵な主にも巡り会えましたし」 ローレルはギュッとリゼルを抱きしめると頭を撫でた。 「姫様も私の大切な主です。どうかお幸せになりますよう、いつもお祈りしております」 「・・・ありがとう」 リゼルは少し照れ臭そうに笑い、ローレルから離れる。 「早くやらなきゃ日が暮れてしまう」 話しを反らすリゼルにローレルはクスッと笑い、近くにあった本を渡す。 「後もう少しですから、残りは私がやりますわ。姫様はこの本を図書室へ片付けて下さいな。大分前から返ってこないって管理の者が怒ってましたわ」 「うっ・・・すっかり忘れてた」 リゼルは本を開くとページをめくる。 「やるなら今日だな」 「何がです?」 「いや、なんでもない。・・・じゃあ、行ってくる」 リゼルは後の事はローレルに任せて部屋を後にする。
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