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短い黒髪を風に靡かせて、少女は一人夜の廃墟の前に立っていた。
「・・・ここか」
少女は口の端を吊り上げて笑う。
「おい、リゼル。またこんなことしたら怒られんぞ」
そう言って少女の前に現れたのは緑色の短い髪を持つ少年。
少年の言葉に少女----リゼルは肩を竦める。
「いつもの事だ。で、状況はどうだった?ヴィア」
少年----ヴィアはニヤリと笑う。
「外はそんなに見張りは多くない。五人くらいだな」
「そうか。なら何とかなるな」
「ああ。余裕だぜ」
「そんなに余裕かましてると、怪我するよ?」
苦笑しながらそう言って登場したのは、ディファンの民族衣装である着物を身に纏う少年。
「んだよ。こんなちゃちい組織なら簡単だろ?花月」
「そうなんだけどさ~。最初から余裕ぶっちゃうと可哀相じゃん?」
刀を引き抜きながら少年----花月はそう言うとリゼルの方を見る。
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