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「はあ、俺でよければ構いませんけど」 「ありがとうございます。ではお嬢様」 「くぅ……やっぱり無理だ。一生の恥でもいい!!」 桜花の中で何かが爆発したみたいにはじけた。 「今さら何を言っているのですか、覚悟を決めて下さい」 「無理だ。こんなの私のプライドが許さない」 意地を張る子供のように意固地になる。 そんな桜花に楓さんはため息に混じりに『お嬢様……』と言うだけだった。 だが、ここでケータイの話題が出た事は意外でしかも、桜花が持っていた事もはじめて知った。 いや、この年だし、しかもセレブの娘だから持っていて当然かもしれないが。 「なあ……桜花の番号とアドレス聞いちゃダメかな?」 言ってしまった。 実は女の子に番号を聞くイベントなんて殆どないもんで心臓がドッキドキだ。 この音が聞こえてないか心配になるくらい。 「えっ…?」 キョトンとした様子の桜花 「だから、番号とアドレス…知りたいんだけど……別に嫌ならいいよ」 もう一度、同じ事を言う。 「……仕方ない。そんなに懇願するのに応えないというのはやぶさかではないからな。いいだろう」 やや間があって桜花が答えた。 「ほっ本当か!?」 「うそを言っても仕方ないだろ。それにアンタが教えて欲しいって言うからだからな勘違いするんじゃないぞ」 何を勘違いするのかわからないが、そっぽを向きながら言った。 「じゃあ、早速いいかな?」 そう言って、すぐに用意する俺に対し、桜花わ出し渋るようにしてケータイを出した。
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