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「そういやそうでしたね。でもこんなに早く実現するとは」 「今回はタイミングがよかったですからね」 「ちょっと、アンタ達。約束ってなに?」 約束の事など何も知らない桜花が問うように聞く。 「楓さんがお菓子作るのが好きって聞いて、それで食べてみたいっていったら、今度作ってくれるってゆう、メールのやりとりをして」 「ふんっ。メールなど現代っ子め携帯電話なんだから電話すればいいだろ」 えっ、そこに噛みつくの?約束うんぬんとかはどうでもいいんですかい? しかも、現代っ子って、俺と同い年じゃねぇかよ… 「いや、電話だと楓さんも忙しいし、メールなら都合いいときに出来るから」 「都合のいいときだと連絡が欲しい時にこないであろう。電話だったら、もし出れなくても、すぐに折り返ししなくてはという気持ちにもなるし。メールを多用していると、返事など後でいいや、などとなり後手を踏んでしまう。それが積み重なると怠慢に変化していくんだ。だからメールは現代っ子の象徴なのだ。」 長々とメールという機能に対しての熱い思いを語ってくれるが、もう一度声には出さないが言おう。お前も現代っ子だ。 「ああ、うん。そうかもしれないね」 「お嬢様の場合、メールという機能が上手く扱えないから、メールが嫌いなだけではないですか」 やれやれといった感じに楓さんが言った。 「えっ!?そうなの」 おいおい、ただの機械オンチってオチですかい… 「ちっ、ちがう!!怠慢の原因だからだ!!メール位朝飯前だ。断じて出来ないということはないっ!!」 楓さんに痛恨の言葉を頂いた桜花は、声を張り上げて否定する。 その否定ぶりが、逆にメールが出来ないと言ってるみたいだ。
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