478人が本棚に入れています
本棚に追加
/271ページ
「そういやそうでしたね。でもこんなに早く実現するとは」
「今回はタイミングがよかったですからね」
「ちょっと、アンタ達。約束ってなに?」
約束の事など何も知らない桜花が問うように聞く。
「楓さんがお菓子作るのが好きって聞いて、それで食べてみたいっていったら、今度作ってくれるってゆう、メールのやりとりをして」
「ふんっ。メールなど現代っ子め携帯電話なんだから電話すればいいだろ」
えっ、そこに噛みつくの?約束うんぬんとかはどうでもいいんですかい?
しかも、現代っ子って、俺と同い年じゃねぇかよ…
「いや、電話だと楓さんも忙しいし、メールなら都合いいときに出来るから」
「都合のいいときだと連絡が欲しい時にこないであろう。電話だったら、もし出れなくても、すぐに折り返ししなくてはという気持ちにもなるし。メールを多用していると、返事など後でいいや、などとなり後手を踏んでしまう。それが積み重なると怠慢に変化していくんだ。だからメールは現代っ子の象徴なのだ。」
長々とメールという機能に対しての熱い思いを語ってくれるが、もう一度声には出さないが言おう。お前も現代っ子だ。
「ああ、うん。そうかもしれないね」
「お嬢様の場合、メールという機能が上手く扱えないから、メールが嫌いなだけではないですか」
やれやれといった感じに楓さんが言った。
「えっ!?そうなの」
おいおい、ただの機械オンチってオチですかい…
「ちっ、ちがう!!怠慢の原因だからだ!!メール位朝飯前だ。断じて出来ないということはないっ!!」
楓さんに痛恨の言葉を頂いた桜花は、声を張り上げて否定する。
その否定ぶりが、逆にメールが出来ないと言ってるみたいだ。
最初のコメントを投稿しよう!