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「イツツ……いきなり投げるなよ。危ないなぁ」 「アンタが余計な事を言うからだ」 「俺なんか言ったっけか?」 桜花はふんっと鼻を鳴らして機嫌損ねそっぽを向く。 ったく、なんなんだよ。まぁいいや。投げつけて返せとか言ってこないから、たぶん貸してくれたということなんだろう。 そう解釈して、桜花のケータイを試しに扱ってみる。 桜花のケータイは、待ち受けもたぶん初期のままならキーを押した時になる電子音もそのままで、たぶんほとんど弄ってないというのがわかる。 この機種の一番の売りがカメラの画素数なので、試しに起動してみる。 うむ……流石1000万画素、まるでデジカメみたいだな。 俺のがだいたい400万画素なのでその差は歴然だ。 鮮明に捉えてる。 そうなると、やはりどんな映りなのかが気になるので、何かを撮りたい。 都合のいいことに被写体が正面にいるのと、それは、今から俺がしようとしている事を理解してないことだ。 そして、しっかりと撮れる所にカメラをもっていき、 "カシャッ" シャッター音が見事に響き、ケータイの画面には1000万画素を駆使した被写体ならぬ桜花が綺麗に映し出されていた。 ケータイのくせにこのクオリティはなかなかあっぱれだ。 だが、俺はそこまでカメラの性能にこだわる派ではない。 「おい、今何した?カシャッて聞こえたけど」 流石にシャッター音には気付き何をしたか聞いてくる。 「写真撮ってみた。うまく撮れてるべ。ってか、カメラがいいからなんだけどね」 と言って、今撮ったのを見せると、
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