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翌日は実に晴天、俗に行楽日和と呼ばれるような天気であった。そう、行方不明者を捜しに行くなんて理由でなければピクニックにでも出掛けて見たくなるような。
朝十時、清南、光、鞘花の姿がモノレールの武偵校駅に集まっていた。
これにも性格が出ていて、全員が集合時間の三十分前に集合してしまっていた。
休日であるので制服などではく私服で出掛けたいのであるのだが、今回の外出はミッションである。
武偵高校の制服というのは防弾繊維を編み込んだ防弾制服になっているので任務に向かう際には必然的に制服姿になってしまう訳だ。
そんな無難な武偵高の制服を着込んだ光たちと違い、清南は特殊な服装であった。
制服のズボンに白いワイシャツまでは普段どおりであるがその上に漆黒のロングコートを纏っていた。春先とはいえ暖かな陽気の天気に真冬のようなロングコートは周囲からも奇異の目で見られていた。
もちろん、これにはしっかりとした理由がある。
清南が纏ったロングコートは防弾仕様にしなっている。それだけならば、普通の制服と同じだ。しかし、性能が大きく違う。
清南の纏うロングコートの防弾性能は武偵高校の制服の10倍。44口径のマグナム弾すら通す事のない最強の鎧。
まあ、普通に武偵高校に送られてくる任務を完遂するのに、これほどまでの装備はいらないはず、普通の任務を完遂するならば、だ。
「あの、暑く無いんですか?」
いい加減、疑問に思った光が清南に問う。
「大丈夫だ、問題ない」
そう言う清南はうっすらと汗を掻いていて、とても大丈夫であるようには見えない。
しかし、どんなに暑かろうと狩猟科(ハント)の生徒は依頼の際に特殊な防弾着を着用することが義務付けられているので諦めるしかない。
まだ、この季節ならばマシな方、真夏でもこの格好というのは今から考えるだけでも地獄だ。
「お待たせ~」
すると、そこで最後の1人である真名が大きな声を挙げながら現れた。
そこで他の三人が驚いたのは彼女の服装であった。
真名が纏っていたのは昨日、清南と光が会った時に来ていた油で薄汚れた作業着だった。
「おい、どうしたんだ、その服」
流石に聞かずにスルーする訳にはいかずに清南が代表して聞く。
「ん?ああ、ついさっきまで光ちゃんの武器を鍛えていたから、着替えている時間がなかったの」
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