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それから、3日で清南の元にあの男から電話がやってきた。
《それなりの情報は掴めたから、明日の午後6時に俺達の隠れ家に来てくれ》そんな内容だった。
そこで、4人は再び用意してジオ品川に向かった。
結局、武力拘束したチンピラの言葉では信憑性に欠けると教務科(マスターズ)に一蹴されてしまい、援軍は期待できない状況になった。
結局の目的は先日と変わらない。あくまで失踪者があの街に潜んでいるという情報の獲得だけだ。
それだけであるなら清南1人でも良いのだが、この任務は光の足りない単位を補うためのものなので清南1人で解決する訳にはいかない。
それならば、安全性を高めるためにも鞘花や真名の助けも借りなくてはならなくて・・・
結果として、先日と同じように4人で向かうことになった。
ただし、その緊張感は先日の比ではない。
あの街では、真昼間から活動するような悪党は少ない。昼とは違って、いかがわしい店だって開店しているし、悪党面の連中も闊歩しているだろう。
それに今回は前のように街にまったく入らないで良いなんて状況ではない。
情報収集を頼んだ彼らから、得た情報を用いて失踪者を探さなくてならない。
そのためには多少なりとも危険に身を投じなくてはならない。虎穴に入らなければ虎子を得ることは出来ないという訳だ。
そして、清南らは彼らのアジトへやってきたのだ。
小屋は相変わらず散かっているかと思いきや、清南たちがやってくるからか、光の居心地悪そうな表情が堪えたのか、それなりに片づけられていた。
「それで、それなりの情報ってのは?」
小屋に入って数分もしないうちに清南が本題に入る。
男たちも茶など出すつもりはなかったらしく、清南の言葉に応じた。
「この街の中心近くに捨てられて無人の劇場がある。まだ、ジオ品川が不法占拠者に支配されるなんて考えられていなかった頃のものだ」
「確かに貴方達に劇を楽しむような余裕も教養もなさそうね」
棘のある物言いをしたのは件の対物ライフルとは別のPGM ウルティマラティオを構えた鞘花だった。
彼女だけでなく、清南達は全員得物をむき出しにして交戦体制をとっている。
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