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編集長との話の後、真田は勤務時間など完全無視をして外で電話をかけていた。
「出ろ出ろ出ろ!!早く出ろよおぉぉぉ!!」
「はいはい。何か用か浩介?」
「兄貴!?兄貴か!!」
「落ち着け浩介。朝からうるさいぞ」
電話が繋がったら即時に、周りなど気にせずに叫ぶ真田をなだめている電話の相手は、真田の兄。
またギャングの密着取材を命令した張本人であるオーナーでもある。
「ギャング密着取材ってどういう事だ!?」
「あぁそれ聞いたのか?大丈夫だ。俺の知り合いの所だから」
「大丈夫なわけがあるか!!ってかギャングの知り合い何ているのかよ!?」
壊れたスピーカーの如く喋りまくる真田とは裏腹に、兄の方は軽く受け流し続ける。
「まあまあ落ち着けよ浩介。これは俺がお前に与えた大出世チャンスでもあるんだぞ?」
「……大出世チャンス?」
出世という単語で真田は反応し、多少落ち着きを取り戻した。
「そうだぞ。俺はお前を出世させてやりたい。その気になれば鶴の一声でいけるがそれじゃあ駄目なんだ」
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