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「はぁっ…はっ…」
久しぶりにたくさん飛んだ気がする
雨に濡れた羽根がヒドくオモたい
オレの目の前には淡くクリーム色に光る鏡
『混沌の間』の入り口
テンシ達が住む天宮のずっと、ずっと下にそれはある
フダン誰も近づかない
…怖いから
混沌に飲みこまれるのが、怖いから
「……」
そっと手を伸ばす
何の抵抗も無くすっと鏡にオレの手が吸いこまれる
そのまま、鏡のナカに歩みをすすめた
どっちが上でどっちが下なのかよく分からない
ヘンな浮遊感
実体の無いクリーム色のカーテンがゆらゆらと揺れている
色々なイキモノの気配
テンシ・アクマ・ニンゲン…
ぜんぶ実体がない、ただの気配…
「…きもちわるい…」
腹から何かエタイの知れないモノがこみ上げて、ノドが苦しい…
倒れてしまいそうになった瞬間、腕を引かれた
「意識を失えば、飲み込まれるぞ」
低くて優しい声
暖かくて、大きなて…
あぁ…碧だ…
「…あお…」
何でそうしたのか分からない…
ただただ、碧に触りたかった
だから、力いっぱい、碧に抱きついた
アオハ…アタタカクテ…
イキテル、ニオイガスル…
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