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木を組み合わせて造られた天井から、壁から。滴が伝い、即席の小さな川が出来上がる。
ぼんやりとした思考でそれらを見上げるだけの空色の瞳と視線。
(眠い……)
ベットから起こされて、大体一時間か二時間にはなるが思考は完全には目覚めていない。
目の前にある川は途切れて水滴となり顔に落ちた。
「……いい加減さ、まともな修理しない?」
水滴の冷たさで目覚めは一気に、脳に駆け込んだ。
そして、顔に落ちた水滴を手の甲で拭いながら言う。
その顔立ちは、とても端整で、けれど、ひどく不機嫌だった。
整った顔立ちが、台無しになるほどに。
隣には、風船に光を込めた灯りが浮かび暗闇の中を照らす。
灯りが先導するように周りを動き回る。
ギシギシ……と危ない音を立てる足元の梯子。
その足元に合わせて背中に伸びた濃いめの緑の髪は揺れる。
「えー……嫌だ」
不満そうに紡がれる声。
眉間に寄っていた皺が余計に深くなる。
「お前は、住んでないから、そんな事が言えるんだろう!」
隣にあった灯りが、指を鳴らして一分くらいで、真っ白なタオルへと変化した。
「あー、ありがとう!」
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