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カッカッ。閃光の数本が目の前を斜めに過り、足元に刺さる。
「二人の世界反対ー!!」
その殺気だつ声が発せられるとの同時に閃光が光る。
ぶらりぶらりと揺れる両足。
「二人の世界って……分けかんねぇーよっ!!」
呆れた声で言いながらも身体は手早く少女を肩に担ぎ、閃光を避けて行く。
「どうせだったら、お姫さま抱っこが……」
担がれた少女は、後ろを向いて何かを言ってはいるものの聞いている余裕はない。
「なんで、アイツがここに居るんだよ……」
呟きを漏らしながら、白いチョークを床に早く走らせて紋章を描く。
それは月と羽根を組み合わせた図形で、自分のオリジナルのもの。
「我、ここに在りえん。ここにあるのは無」
低い、重々しい声で詰むがれた声。
そして、床からは光が火柱のように淡く煌めきを放つ。
少女は、暇そうに。担がれたまま手足で弄んでいた。
「じゃ行くから。大人しくしてろよ」
そう言って少女を担いだまま、その中に身を入れた。
煌めきは、長身でもある自分を包み込んだ。
それを確認すると、空色の視線
は何の物音を起てずに少女を床に下ろした。
「仲間外れにするのは、良くないよ~」
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