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「来てあげたのに……」
女性の身体と青年の身体、そして、少女の身体がそれぞれの意思を無視し高く飛んだ。
「ほらほら、私が助けなかったからあーなるのよ」
そして陣からは、木の床から光の細い柱と亀裂の轟音が聞こえた。
「向こうは、怒りで能力が倍増しちゃったみたいー。感謝でしょ?」
きゃはとおちゃめに笑ってみる、女性。
「助けてえー」
くるくると、車輪のように弧を描いて回る少女。
「そんなすっごい!そんな風になるなんてある意味天才!!」
嫌味がたっぷりと込められた言葉を笑顔で言ってのける女性は、指先を動きに合せ回す。
「あんたのせいだろーが!」
師弟関係なく頭を殴り、素早く少女の体を抱え込んで支えた。
「私にちゃんと回避かけて、おいてあげたんだから♪」
相変わらずに女性は、微笑みを絶やさずにいた。
(なーにがだ。しっかり、仕込んでだくせに……)
青年は、胸の内で師でもあるに呆れた。
「気持ち悪~……」
その証拠に、抱えた少女の背中。
回避の法と子供が使うような、初歩的で悪戯専用の操作術が服の上から記されていた。
「――見つけたよ、お二人さん♪」
そして、忘れていた声と存在が背後に聞こえた。
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