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「初めまして、桜木駿君。」 私は今日から参加の生徒に声をかける。 「私は遠藤美佳子です。」 そして、彼に笑顔を向ける。 名を呼ばれた彼は臆することなく私の方に視線を真っ直ぐに向けた。 サラサラの黒髪。 細身で、でも筋肉が付いていて、こんがり日に焼けた肌。 目鼻立ちはハッキリしていて上品で、育ちの良さそうな顔。 中学生の純真さと大人になりかけの物静かな瞳。 きっと同級生だったら好きになってる… それくらいの衝撃だった。 慌てて、仕事モードに切り替えプロフィール表を確認する。 帰国子女で、英語はペラペラだけど、漢字が苦手。 苦手強化の克服が目的らしい。 「宜しくお願いします。」 彼の声は澄んでいて、穏やかで、そして落ち着いていた。 たかだか、6つも年下の生徒に妙に心がざわめいた。
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