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「うん。」
駿君の言葉は本物だ。
大丈夫と言うと、本当に大丈夫だと思える。
「ありがとう…」
もう夢の世界に引き戻されそうな駿君の寝顔を見ながら私は囁いた。
この五年間、本当に苦しかった。
完全に払拭出来た訳ではないけど、昨日までの頑なな自分ではないと自覚していた。
憑き物が落ちて、目の前が拓けた気がする。
変われる気がした。
そして、そんな自分を受け入れる事が出来ると思えた。
「廣田さんの分も幸せに精一杯生きよう…」
口に出して言うと、滑稽に聞こえるが、言う事で実現できる気がした。
駿君のお陰。
身も心も満たして、癒してくれた。
でも、だからこそ彼の甘い安らぎからは巣立たないといけないのではないかとも思う。
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