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「はよー!」「おはよう!」「おはようございます!」 次々と皆がやってくる。 「ホント美佳子さんは来るのが早いっすね。」 「新人をどうやってイビろうか作戦立ててたんじゃない?」 悪友の安芸冬子がすかさず悪態をついた。 私より年は4つ年上だけど、同級生みたいに気が合うし、一緒にいて楽しい。 華奢で、ふんわりした雰囲気なのに口を開くとかなりの毒舌だ。 「スパルタトーコがよく言うよ。」 冬子の背後から現れたのは私のたった一人の味方、爽やか好青年の大田芳則さん。 同じ年だけどさん付けなのは、雇用一年目で店長候補という仕事の出来る人だから。 「言ってやって言ってやって!」 私が冬子を指差して大きな声をあげると、次の出勤者がうんざりした声で言った。 「うるさい…」 「何だ、シマダコウジ。」 冬子に呼び捨てされたのは、今年27才のフリーター・嶋田浩二。冬場は雪山に隠ってしまうプロのスキーヤーだ。
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