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普段の翔太なら慎重になり、その会話に疑問を持ったはずだ。
だが酔った勢いとは恐ろしいもの。
「ははは。涼さんの誘いに、俺が断る理由はないでしょ」
ゲラゲラと笑顔で承諾した。要約するに飲み会サークル。暇つぶしには丁度いい。それに信頼し得る涼のこと、断る理由もなかった。
怪訝そうな表情の涼。
「マジで入るのか? じっくり考えてもいいんだぞ」
念を押すように問い質す。
「だから大丈夫ですって。そんなことより飲みましょうよ、せっかくの酔いが醒めちゃうって」
それでも翔太はそんな話などどうでもいい。その話題を吹き飛ばすように、ゴクッゴクッと小気味の好い音を響かせ生ビールを飲みだした。
「悪いなトビ。文句は“陽一”に言ってくれ」
ぼそりと呟く涼。もちろんその台詞は翔太には聞き取れない。
「おっいいなや、その飲みっぷり。んだな飲むべした」
そして水割りのグラスを一気にあおった。
「おーっと流石は涼さん。今日はとことん飲みましょう。明日は休みだしさ」
こうして二人は夜遅くまで飲み明かしたのだ。
__それから一週間後『サークルの服装だ』と家に届いたのは、黒地に白と赤の法被・帽子・ズボン。 噂に名高い消防団の服装だった__
あいつ消防団に入ったらしいぜ
第一章~終わり
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